2015/02/20

レトロな家具の良さ、本質を考える

またblogサボってしまった。スイマセン。

USEDリメイクのチェアを2脚出しています。
イタリア製のチェア。

1脚 20,000円(税別) です。


























豪華な木部なんで派手目の布地を張ってみた。
ちょっと高い布地なんで若干値段も上がったけど…
中のウレタン交換からベルト張り替え、キズの補修もしています。


ちょっと面白い修理が入りました。


 1970年代にインドで作られた椅子だそうです。
オーダー製作の椅子。良い木を使ってます。素晴らしい!
作りもしっかりしてて木部は塗膜の痛みくらい、ガタツキもない。

木部の全塗と張り替えを一緒にご依頼頂きました。

 剥がしてみたら座面のバネはなんだか見た事ない変わったのが入ってる。
伸びきってユルユル。ウレタンは粉になってる。そりゃ40年も使ってるからね。
塗装はラッカー系だと思うんだけど塗膜が剥げてグズグズ。


木部は塗膜が完全になくなるまで全面削ります。
ひたすら削ります。
ちょっとでも塗膜が残ってるとそこだけ次の塗装を弾いて変になるから
少しも残らず全部削る。粉まみれ。

この椅子はまだ曲線や装飾的な加工が少ないから削りやすい。
↑のリメイクチェアみたいなのだともうめちゃくちゃ大変。

ガシガシ削って白木の状態に戻します。
一番最初に造る時、塗装する前の状態と同じところまで。
木部の再塗装をすると新品の状態に戻る。
テーブル天板なんかは平面だからまだ削り易いけど、椅子はとにかく大変。


再塗装って聞くと上から塗料を塗ると思う方も多いけれど、
塗料の上に塗料は基本的には塗れません。
塗料の種類にもよるし、痛みの状況にもよるけれど、基本は削って塗る。
どうしても手間がかかるけどそれだけ綺麗になります。
傷んでるのはだいたいの場合塗膜だけ。中の木は少し削れば綺麗になる。


















































ここまでやれば新品同様。
まだまだ何十年も使えます。
 
 
ここから余談。
 
最初の写真の傷んだ状態、レトロで味があって良い。
直した後のは新品同様。これも勿論綺麗。
 
でも、同じ椅子です。
直したこれも何十年も経てば同じようにクタクタになる。
 
クタクタのレトロな家具が好き! 分かります。
 
でもわざわざアンティーク風に造った新しい家具とか、
グズグズの古いのを買う必要はあるのか?
 
って最近よく思う。
 
 
質の悪いアンティーク風の新品家具や直してない古家具は安い。
けど長持ちしません。壊れます。
壊れたらどうする? 安く買ったから修理する気にはならないと思う。
 
例えばこの椅子。
修理前の状態で売ってたらカッコイイじゃないですか、レトロで。欲しくなる。
でも座面も塗装もグズグズ、長くはもたない。 直すとそれなりに値段がかかる。
たぶん未修理で売ってたとしたら修理の値段より全然安い。
使えなくなったらどうします?捨てて新しいの買うでしょ? 僕ならそうする。
 
結果、使い捨て。
 
古いモノは誰かが大事に長く使ってたから、壊れず、良い具合で残ってるわけで、
誰かが残してくれたものなわけじゃないですか?
なのに自分は使い捨て。
レトロなモノが好きなのに使い捨て。 矛盾してません?
 
良い家具は長持ちするから使ってるうちに風合いも出てくる。
最初は新品で、使ってるうちにそうなっていくのが自然で良いな、と思う。
 
古い家具はちゃんと長く使えるように修理して販売する。
ある程度綺麗にはなっちゃうけどまた使ってるうちに風合いが出てくる。
 
例えばオーダーで作るなら、そういうレトロな感じになり易いように造る事だってできる。
ウレタン塗装はせずにオイル塗装にして、
テーブルなんかは最初から少し荒く削ったり。

良いモノを長く使う、と、レトロな風合いが好き、は横並びのはず。

見た目だけのレトロは長続きましません。バレてるって、そんなん。

今回の修理みたいに、良い具合になってまた直して、繰り返し使えるとベストだと思う。
質の良い家具ならそれが可能。 
 



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